でんきメモ

OVGRの目的と必要性

OVGR 地絡過電圧継電器の記号
OVGR 地絡過電圧継電器 記号
高圧電路のケーブルや機器の絶縁劣化、電路と大地間が接触して起こる地絡事故を検出する保護装置。
太陽光発電設備では、電力系統側で地絡故障が発生した場合、故障した場所の探査や故障の除去作業をする作業員への感電を防止するため、PCS(パワーコンディショナー)を停止させる必要がある。

そのため、OVGRで地絡過電圧を監視し、高圧系統側での地絡を検知した場合、パワーコンディショナの発電を停止させる必要がある。

OVGR 配線例


・ZPDのY1・Y2⇒OVGRのY1・Y2(Y2側が接地)
・MCCBのAC100V⇒ブロック電源 or UPS(AC100V/DC24V変換)⇒OVGRのS1・S2(DC24V)
・PCS(パワコン)⇒OVGRの地絡検出出力接点

OVGRの動作接点例
・地絡過電圧出力(通常監視状態OFF、地絡検出時ON)
・系統遮断/復電検出出力(自動・手動の設定が可能)
・自己診断出力

OVGRの原理

系統側の地絡は、電流ではなく電圧で監視する。
その理由は、系統事故時、発電設備設置者側から流出する地絡電流(充電電流Ic)は小さい。
地絡電流では不動作となる場合があるのでOVGR(Vo=零相電圧)により地絡電圧を検出する。

零相電圧は回路全体(電力会社の変圧器の二次側 6.6kV側)に発生する。
なので同じ変圧器に繋がっていれば、どこで地絡が発生しても等しく零相電圧が発生する。
零相電圧では地絡点の特定は困難。

系統地絡とOVGRの関係

地絡事故1があった場合
DGR1動作⇒配変電所VCB開放⇒PCSからの電力供給も停止させる必要があるため需要家OVGR動作にて系統切離し。

地絡事故2があった場合
DGR2動作⇒配変電所VCB開放⇒事故系統と健全系統は切り離され、PCSからの電力供給を停止させる必要はなく、需要家の零相電圧もなくなるのでOVGRは動作せず。

OVGRの整定値

動作時間
配電変電所DGRの動作時間よりも長くして、健全系統の不要動作を防止する。
電力会社からの指定で、多くは「1秒」に整定される事が多い。

手動⇔自動
自動:OVGR動作でパワコン停止した後、自動でパワコン復帰させ発電したい場合。
手動:OVGR動作でパワコン停止した場合、手動で電気主任技術者が復帰させる場合。
※原則「手動」が望ましいが「自動」の設定になっている現場もあるらしい。

OVGRの省略条件

OVGR省略可能条件
・PCS出力容量10kW以下
・PCS出力容量が契約電力の5%以下
K2ZC-N カタログ(公共・産業用太陽光発電システム系統連系向け製品)

注意点

OVGRの制御電源端子、S1、S2は、継電器の定格制御電源がDC24Vとなっている。
OVGRの試験をする際、配線は電源側から低圧MCCB⇒S8TS⇒OVGRとなっていたら、MCCBをOFFにした状態で、MCCB2次側にAC110V印加させる。

関連ページ

TOPに戻る