統括防火管理者とは?
近年、複合用途の建物などで、死傷者等を伴う火災が相次いでいる。管理について権原が分かれている建物の防火管理体制を強化するため、消防法の一部改正があり、制度が整備・強化された。
火災時の混乱と惨事を防止するため、建物内の複数の管理権原者の協議により、建物全体についての防火管理上必要な業務を統括する「統括防火管理者」を選任する。
そして建物全体の一体的な防火管理を行い、消防計画を定め、それに基づく全体の訓練、防火管理上必要な業務を行う。
統括防火管理者は、防火管理上必要があると認めるときは、各防火管理者に対して必要に応じて指示をすることができる。
統括防火管理者の選任
統括防火管理者の選任が必要なのは、管理について権原が分かれている(複数の権利権原者がいる)防火対象物のうち、以下のもの。- 高さが31mを超える建築物(高層建築物⇒消防長または消防署長の指定は不要)
- 特定防火対象物(準地下街、地下街を除く)
地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が30人以上のもの。 - 特定用途部分を含まない複合用途防火対象物
地階を除く階数が5以上で、かつ、収容人員が50人以上のもの。 - 準地下街、地下街
試験問題
統括防火管理者の選任が必要なものは?問題1
倉庫と共同住宅からなる複合用途防火対象物で、収容人員が80人で、かつ、地階を除く階数が4のもの。
回答1
これは「特定用途部分を含まない複合用途防火対象物」だが「地階を除く階数が5以上」ではないので、統括防火管理者の選任の必要なし
問題2
高さ31mを超える建築物で、消防長または消防署長の指定のないもの。
回答2
統括防火管理者の選任が必要。
問題3
劇場と映画館からなる複合用途防火対象物で、収容人員が300人で、かつ、地階を除く階数が2のもの。
回答3
劇場と映画館は特定用途部分だが、地階を除く階数が3以上ではないので、統括防火管理者の選任の必要なし。
問題4
地下街で、消防長または消防署長の指定のないもの。
回答4
地下街の場合、消防長または消防署長の指定のあるものだけが統括防火管理者を選任する必要がある。
指定のないものには統括防火管理者を選任する必要がない。