でんきメモ

ZCT 零相変流器

ZCTは、3相分の配線を一括してZCTの穴に通して電流を流す。
対称3相交流は通常、3相分の電流は120°ずつ位相がずれている。
健全な状態であれば、各相のベクトルを合成すると打ち消し合ってゼロになる。
しかし3相のうち1相が絶縁不良等で地絡を起こすと、そこから地面に電流が流れる。
地面に流れた電流は健全相の電線の「対地静電容量」によって健全相に電流が流れ込む。
健全相に流れ込んだ電流は変圧器1次巻線を通過した後、地絡相の地絡事故点に向かって流れる。
一線地絡が発生した場合、このようなループで地絡電流は流れ続ける。

この状態は、3相の電流が不均衡状態であり、合成してもゼロにならない。
この不均衡状態をZCTのにより検知し、ZCT2次側端子(k,l)から出力する。

ZCTの中身はドーナツ状の鉄心と、それにぐるぐる巻にされたコイル。
不均衡電流が鉄心を通過すると磁束Φを発生、これが鉄心(磁気コア)にΦ'として誘導される。
磁気コアのΦ'はコイル巻線に起電力を与える。
コイル巻線の先はZCTの2次側、kとlにつながっており、ここに電圧が発生する。
(※ZCTを不使用の場合、kとlに電圧を発生させないため、電線で短絡させた方が良い?)

参考・引用
電流センサの原理と技術情報 | 製品情報 - Hioki

ZCTの設置場所


モールドジスコンとLBS+GRの組み合わせの場合。
キュービクルへのケーブル引き込み、地下から立ち上がり部分に設置。

ZCTの外観(三菱 BZシリーズ)
ケーブルを通す向きがある。
ZCTの表面に大文字でKとLの文字。

二次端子(kとl)
試験用端子(ktとlt)
電気室の盤面にKtとLtという名称の試験用端子がある。
これはZCT本体についている端子、KtとLtに繋がっている。
(配線されていない場合もある)

KtとLtに対して電流を流すことは、ZCTの穴に配線を通してKからLに向かって電流を流すことと同じ意味。

ZCTの回路図。
受電盤の場合、KがUGSやPAS側(電源側)で、LがVCBやLBS側(負荷側)
下から上へのケーブル立ち上がりの場合、ZCTの下面がKとなり、上面がLとなる。

ZCTの選定

適用規格 JEC-1201-2007

定格零相一次電流:200mA
定格零相二次電流:1.5mA

窓径:定格一次電流(A)
60mm 300A
90mm 600A
110mm 1000A
170mm 1200A
周波数:50/60Hz両用
確度階級:L級(零相電流検出用)

ZCTの励磁インピーダンスは二次配線などの誘導・零相電流特性にも影響する。
なので大きい程良く、JEC規格では5Ω以上又は10Ω以上をL級として規定している。
重要回路では 20Ω以上のH級を採用する場合もある。
標準は >10Ω である。

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