でんきメモ

LBS 高圧交流負荷開閉器

LBS (Load Break Switch)
三相一括で開閉する。
アークシュートでアーク消弧されるため、負荷電流を遮断できる。
継電器を使用して連携遮断ができる。

LBS 外観

外観


フック部分(LBS投入状態)

フック部分(LBS開放状態)

VCB・LBS・PCによる変圧器容量の違い

変圧器保護用
VCB:500[KVA]を超える
LBS:500[KVA]以下
PC:300[KVA]以下

ストライカ(動作表示装置)引き外し式

LBSに短絡電流が流れると、ヒューズが溶断し、溶断表示棒が飛び出す。
この際、トリップレバー(ヒューズ下の金属プレート)を押し出し、ラッチが動作する。
ヒューズ溶断と同時に三相すべてが開放されるので、欠相運転を防止することが出来る。

ストライカが、ヒューズの下ではなく上に飛び出すタイプもあるらしい。
メーカーでいうと、エナジーサポート、富士電機、東芝などにあるらしい。

ヒューズ動作表示スイッチ

LBSのPF(パワーヒューズ)が溶断されるとヒューズ下の金属プレート板が押し出される。
するとヒューズ後ろにある金属の横棒が動き、それに連動してLBS右側にある金属の縦棒が上に動く。
するとLBS右上にあるスイッチを押し上げ、常時開路状態の接点が閉路して警報回路が完成する。
ここに自己保持、オレンジランプ点灯、ブザー、リセット回路を用意することでPF溶断回路が作れる。

LBS 遮断電流

定格遮断電流:200[A] ✕ 200回。 定格遮断容量を間違えると電流が遮断できずにアークが発生、遮断器の焼損、相関短絡に至る場合も。 発生したアークが他の導体と接触することで短絡事故に。

LBS 開閉可能・開閉不可能の条件

通常負荷(定格負荷):遮断可能
過負荷電流・短絡電流:遮断不可(PFヒューズで遮断)

LBSの開閉寿命・更新推奨時期

電気的開閉寿命:200回
機械的開閉寿命:1000回
多頻度の開閉箇所には適さない

更新推奨時期(使用開始後)
高圧交流負荷開閉器:15年 または負荷電流開閉回数 200回
高圧限流ヒューズ:15年

LBSの汚損・不具合・絶縁不良

三菱のがいしが茶色タイプのLBS。絶縁が悪くなりがち。


LBSは空気中に露出しているため、粉塵、グリース固着で接触不良が起こり加熱の可能性。
LBSの絶縁部が汚損した状態で吸湿すると絶縁が低下し、地絡事故や相間短絡事故の可能性。
エポキシ樹脂製のストライカーリンクの絶縁劣化は、ヒビ割れ、湿気侵入、トラッキング等。
この場合、洗浄や補修などで性能が回復するのは不可能。

LBS点検、清掃中の事故


LBS投入状態で清掃、目視点検中にLBSのラッチ部分に触れてしまいLBSが勢いよく開放されLBSヒューズ部分が顔や頭に直撃。 ヘルメットを被っていてケガは避けられたとしてもPFヒューズを割ったり傷つけてしまう可能性も。 点検清掃中は必ず開いておく。

LBS 補助接点

補助接点は以下の2つで構成される
・アークシュート(消弧室)
・アークブレード(金属の刃のような形)

LBSの開放は、主接点が外れた後に、補助接点が開放される。
この時、補助接点にアークが発生するが、補助接点のアークブレードは、アークシュートの作用で消滅する。

アークシュート(消弧室)の効果
消弧室の細隙効果と冷却効果により、アークが消滅。

LBSを通電中に開放すると?

変圧器2次側の負荷に電源を供給した状態でLBSを開放する場合、アークが発生する。
音、光、熱を発するが、これはアークシュートにより消弧される。
変圧器以降のMCCBをすべて開放し、負荷への供給をストップした状態であれば、アークは最小限に抑えられる。
ただし通電状態でコンデンサ上のLBSを開放する場合、コンデンサには電流が流れているので、アークが発生する。

カットアウトと比較したLBSのデメリット

LBSは充電部が露出しているため、水分、ほこり、汚れなど付着しやすい。
それに伴い、LBSの筐体部分に生じた汚損より絶縁低下を起こしやすい。
高圧カットアウトに比べて、耐用年数も短い。

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