層間短絡 レアショートとは?

レアショート = layer short。
変圧器は、コアと呼ばれる鉄心に銅線をクルクル巻いてある。
コイルの巻線は被覆で絶縁されている。
しかし何らかの理由で絶縁抵抗が小さくなり短絡することがある。
巻き線の途中で絶縁破壊が起こり、1つ隣の巻き線と接触する。
これを「レアショート(層間短絡)」と呼ぶ。
レアショート(層間短絡)の原因
過負荷による熱で絶縁被膜が劣化負荷が大きくモータが動かない「モーターロック状態」による発熱
モータの製造工程の段階で被膜が損傷
振動による絶縁劣化
粉塵の混入
経年劣化
層間短絡レアショートの診断方法
メガーで測定しても診断することができない。同相で短絡しているだけなので、対地絶縁抵抗値、相間絶縁抵抗値は変わらない。
しかし変圧器内で発生したレアショートによって変圧器内部が加熱、スラッジが発生。
それによって変圧器内部の油で1次側と2次側の絶縁が低下。
変圧器1次側に5000V以上のハイボルトメガをかけると絶縁低下しているケースも。
変圧器の蓋を外して中の絶縁油を見て汚れはないか、スラッジは浮いてないかチェック。
変圧器内で局所的に熱が発生、絶縁油の分解によるガス生成や劣化。
定期的なDGA(溶解ガス分析)
特定のガス(水素、アセチレン、一酸化炭素)が検出されれば層間短絡の可能性。
変圧器を単独で1次側にスライダックで電圧を少しかける。
すると層間短絡が発生した相には大きな短絡電流が流れ、接触部を発熱させる。
直流抵抗測定
各巻線の直流抵抗を測定、相互間でのバランスやメーカー基準値を確認。
通常、層間短絡が発生している巻線の抵抗値は異常に低くなる傾向。
高圧側と低圧側の各巻線間の抵抗値を比較、異常の有無を判断。
事故事例
電灯用PCの1相でヒューズ切れ停電、PCヒューズ交換
絶縁測定、異常なし、復電
すぐにPCの1相(同じ場所)がヒューズ切れ
調査したところ、レアショートだと判明
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