もらい事故とは?
他の需要家による地絡事故で、健全な需要家の地絡継電器 GRが動作すること。地絡継電器の動作により、LBSやVCBが開放され、健全な需要家の構内が停電する。
配電線のどこかで地絡が発生すると、その地絡点に向かい、対地静電容量及びEVTより電流が流れる。
そのとき、健全な需要家の対地静電容量からの電流は、電力会社側へ向かって流れ、変電所の変圧器の巻線を通り、地絡点に向かって流れていく。
電流が流れる原因は、健全な需要家の、対地静電容量による電流。この電流の大きさは、対地静電容量に比例する。
需要家の中で最も対地静電容量を持つのは、高圧ケーブル。
ケーブルが短くサイズが小さければ、もらい事故は発生する確率は低い。
もらい事故の例:モールドジスコン、LBS、GRの需要家
■停電状況・MDSには6600V電力から送電されていた。
・LBSは開放されており、LBS1次側は受電状態であった。
・GRのターゲットが動作状態となっていた。
■推測
・LBS1次側(引き込みケーブル側)に地絡があれば、再送電された時、また停電するはず。
・また、LBSの2次側の絶縁抵抗の値は良好で、特に問題はなかった。
・GRのリレー試験は、連動試験も正常に行えた。
■判断結果
近くの建物で高圧地絡事故が発生し、その建物から流れ出た地絡電流の一部が大地を経由し、自社構内の対地静電容量に流入し、母線内を通過しZCTを通って外部に流出した。
このとき、自社ZCTを流れた零相電流をGRが感知し、LBSを開放させて停電に至ったと推測した。
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