高圧進相コンデンサ SC
外観高圧進相コンデンサの結線図
コンデンサ内部はスター結線。
接続する相順は特になく、正相、逆相など気にせず繋げる。
コンデンサが充電部から開放された場合、自動で放電するように「放電抵抗器」が内蔵。
高圧進相コンデンサの筐体部分(接地用端子)にはA種接地を接続。
高圧進相コンデンサを設置する場所
高圧進相コンデンサの仕組み・メリット
SC = Static Capacitorモーターなど熱源が主目的ではない電気機器の場合、コイルに電気が流れることで無効電流が発生。
コンデンサは、この無効電流と逆方向の電流を流すことで、無駄な電流を抑える。
交流回路で発生する無効電流の割合を減らして力率を改善。
高圧側にコンデンサを設置すると、電力会社との契約に対し、見かけの力率が改善される。
そして基本料金の低減に大きな効果を発揮する。
低圧側に進相コンデンサを分散して配置するよりもコストが低い。
【疑問】⇒低圧の個別負荷に対する力率改善に効果は無い?
進相コンデンサの設置場所 表
高圧進相コンデンサの絶縁抵抗測定
放電抵抗によって各相がスター結線にて短絡されている。なので1相だけ絶縁抵抗測定を行えば、すべての相に対して測定したことになる。
丁寧にやる場合は充電部3相それぞれに対し、DC1000Vメガーにて対地間絶縁抵抗測定を行う。
指示値は100MΩ以上あることが望ましい。値が低い場合、ブッシングなど乾いた布で清掃する。
絶縁測定終了後は感電の危険性があるのでメガーの放電機能を使用し確実に放電する。
高圧進相コンデンサの点検
- ブッシングの油切部分、外箱溶接部に油漏れはないか?
- 外箱に汚損、サビ、ふくらみ、変形はないか?
- 外箱を放射温度計で測定し、周囲温度35°Cにおいて、外箱の温度限度は30°C以下であるか?
NHコンデンサとは?
NH = Non Self Healing箔電極コンデンサ。電極が金属箔(アルミ箔)
局部的な破壊が生じると、その部分は短絡状態となり、絶縁回復せず、自己遮断不可能。
コンデンサ内部で絶縁破壊が発生すると大きな短絡電流が流れ、コンデンサ容器の破壊や噴油に至ることがある。
SHコンデンサとは?
SH = Self Healing蒸着電極コンデンサ。
プラスチックフィルムの表面に、金属を真空蒸着して、電極として使用。
誘電体の一部が絶縁破壊すると、破壊部分の電極膜が瞬時に蒸発・消滅、絶縁が自己回復する。
フィルムと蒸着金属、両方が取り除かれる。
自己回復作用により徐々に内部圧力が上昇し、破壊時に大きな短絡電流が流れない。
コンデンサ容器の破壊や噴油の危険がない。
高圧進相コンデンサの放電
放電抵抗JISで定められていて、進相用コンデンサに内臓されている。
コンデンサの印加電圧(高圧受電なら6600V)を遮断後、5分後に50V以下になる。
高圧進相コンデンサの放電性
放電装置として放電抵抗を内蔵したコンデンサの放電性は、放電性試験によって試験を行ったとき、残留電圧が5分間で50 V以下でなければならない。
放電コイル
約5秒で50V以下に放電する。
複数のコンデンサを入り切りして自動力率調整する場合に必要になる。
放電コイルは放電性能が極めてよいため、大変高価
⇒放電コイルの詳細はこちら
放電の原理
コイルとコンデンサで電流(電荷)が行き来をし、回路内の抵抗分でエネルギーを消費。
高圧進相コンデンサの開閉装置
CB | LBS | PC | VMC | |
50kvar以下 | ○ | ○ | ○ | ○ |
50kvar超過 | ○ | ○ | ✕ | ○ |
注意点
コンデンサをLBS等で開放した後の注意点。残留電圧が充分放電しない状態で再投入すると高い過渡電圧が発生。
高圧では開路後5分以内(低圧では3分以内)の再投入はしない。
自動制御などで短時間に再投入される可能性がある場合、放電コイルを使用。
コンデンサの操作シーケンスは、瞬時にOFF-ON動作をさせないように注意。
受電中、開放された進相コンデンサ[SC]のLBSを投入すると?
SCの定格電流の数十倍の突入電流が流れる。
変流器二次側に異常電圧が発生、層間短絡や火花放電等で損傷。
サージ電圧により電圧継電器が誤動作、制御回路への悪影響。
対策として、直列リアクトルを設置。
突入電流をSC定格電流の5倍程度まで抑制。
コンデンサ故障の原因
①外箱腐食による劣化・外箱腐食
・内部の絶縁油漏れ
・吸湿
・内部で部分放電
・ガス発生
・絶縁耐力低下
・内部フラッシオーバ
・最悪の場合、爆発
その他の要因
・ガスケット(固定用シール材)弾力低下⇒漏油
・がい管部分にクラック⇒漏油
・接続端子の接触不良⇒加熱⇒がい管破損⇒地絡・短絡