でんきメモ

過電流継電器 電圧引き外し

OCR電圧引き外しタイプ
別名「常時開路式」
名前の由来「内部の接点構造」

電流回路
CTTのR相⇒C1R⇒C2R⇒AS⇒A⇒CTTのcom相
CTTのT相⇒C1T⇒C2T⇒AS⇒A⇒CTTのcom相
電圧引き外しは電流引き外しのように電流回路に開路される接点はない。

VCBトリップ回路
OCRが動作すると、継電器内部にあるa接点、T1-T2間とa1-a2間が同時に閉路。
制御電源⇒T2⇒T1⇒52aパレットスイッチ⇒トリップコイル⇒制御電源。
上記回路によりVCBトリップコイルに電圧が印加されVCBが開放。

「52a」とは?
VCB内部にあるパレットスイッチ。
遮断器の開閉状態に連動して動作するスイッチのこと。
VCBのトリップコイルに電圧を励磁し続けないようにするための装置。
VCBが開放状態で52aも開放、VCBが投入状態で52aも投入状態となる。
また遮断器の開閉状態を外部に送るためのもの。

OCR電圧引き外しタイプの単体試験を行う際、a1-a2で動作信号を検出してはならない。
それはOCRの警報a接点が問題なく開閉動作した事を確認しただけである。
実際にVCBを引き外す回路はT1-T2のトリップ用接点である。

T1-T2接点が正常に動作する事を確認するためにはVCB連動試験を行う必要がある。
警報接点とトリップ用接点で接点容量が異なる点に注意。

電圧引き外しは、引き外し用接点がT1-T2しかない。
これは遮断器のトリップコイルが1つしかない事を意味する。
OCRのR相動作時もT相動作時も、同じ1つのトリップコイルを使用してVCBを遮断する。


引用:三菱 MOC-A1V 取扱説明書

電圧引き外しの配線

電圧引き外しの端子例


トリップ用電源の供給源
①CTD(コンデンサ引き外し電源装置)
②直流制御電源盤

OCRが電圧引き外し、かつCTDがOCRの近くに無い場合、直流制御電源盤から供給されている事が多い。

CTD(コンデンサ引き外し電源装置)

CTD(コンデンサ引き外し電源装置)
コンデンサ引外し電源装置にAC100Vで充電しておき、直流電圧を出力し、VCBを遮断させる。
コンデンサが内蔵されているので、停電しても動作することができる。
CTDの入力側AC100Vの供給源は、VT2次側または低圧電灯盤のMCCBから供給されていることが多い。
CTDの容量は少ないので、停電状態においては数回の引き外ししかできない。

注意点
遮断器や保護継電器に使用される制御電源MCCBは、低圧電灯盤ではなく遮断器や断路器のある「高圧受電盤 52R」位置に取り付いている事が多く、容量も小さいのでMCCBのAF(アンペアフレーム)も小さい。

電圧引き外しのメリット

電圧引外しは、引き外し用電源が常に安定的に供給される仕組みをとっている。
それに対して電流引き外しは、事故電流からCT2次側電流を利用することで引き外す。
CT2次側の配線状況や接点抵抗により電流値が変化してしまうので電圧引き外しの方が信頼性が高い。

電圧引き外しVCB

VCBトリップ回路
VCB上面の5番・6番端子がトリップ回路の端子。
CTDのDC出力側が開放されていればトリップコイルの抵抗値と絶縁抵抗が測定可能。

VCB電動ばね操作型
手動タイプと同じく端子番号⑤⑥がトリップ回路。
端子番号①②が蓄勢回路、③④が投入指令回路。
蓄勢や投入指令の電圧はACまたはDCの2タイプがある。
VCBトリップの電圧にACはなく、DC100/110V、DC24V、DC48Vなどの直流電圧。

関連ページ

TOPに戻る