LA(避雷器)内蔵PAS
PAS内蔵タイプのLA定格電圧:8.4kV
公称放電電流:2500A
動作開始電圧:17kV以上(波高値)
制限電圧:36kV以下
定格周波数:50/60Hz
特性要素およびギャップ:ZnO素子(酸化亜鉛素子)ギャップレス
雷が多い地域ではLA内蔵が推奨されていない場合がある。
雷の影響でLA動作頻繁で壊れやすいので、あえて外付けLAを推奨しているらしい。
■LAの設置基準
受電電力が500kW以上の需要家
(500kW未満でも設置は推奨される)
高圧受電設備の保護
電気設備技術基準の解釈(第37条)
受電電力の容量500kW未満の場合には避雷器設置の義務付けをしていない。
ただし雷サージの侵入はその容量に関係無く発生する。
架空電線路から需要家への引き込み口と、これに近接する箇所に避雷器を設置すると効果的。
(PAS負荷側)
避雷器が2つ並列に設置されていた場合
LA内蔵PASと、キュービクル内DS1次側に並列に避雷器が取り付いていた場合。避雷器が並列で2つ設置されている事に意味はある?
キュービクル側のLAがDSで切り離し可能なら切り離しておいた方が良い?
避雷器が並列に設置されている場合、どちらかの避雷器が不動作の場合の補償として活用できる。
両方の避雷器に雷電流が均等に分流することは期待されていない。
必要以上の雷電圧で、どちらかの避雷器が動作すれば、機器や電路を保護という目的を達成。
電気室内の避雷器による事故事例
500kW未満のキュービクル内において避雷器を設置していた。
避雷器とKIPの接続部分が露出しており、そこに小動物が接触し、相間短絡。
PASがSO動作で停電、避雷器のがいし部分が焦げていた。
500kW未満でLA内蔵PASを使用しているのであれば、電気室内の避雷器は取り外しておいた方が良かった?
避雷器を取り外し、KIPケーブルの絶縁処理をしておけば短絡事故は発生しなかった。
PAS避雷器の計算例
Us:避雷器により抑制された対地電圧[kV]
Ea:避雷器の制限電圧[kV]
Ia:避雷器放電電流[kA]
Ra:避雷器の接地抵抗[Ω]
Up:避雷器がない場合の対地電圧[kV]
Zp:電線のサージインピーダンス[Ω]
関係式
Us = Ea + IaRa = Up - (1/2)Zp×Ia
※避雷器は線路の中間点にあると仮定
標準的な値
Ea:33[kV]
Ia:2.5[kA]
Ra:10[Ω]
Zp:400[Ω]
Us = Ea + IaRa = 33 + 2.5 × 10 = 58[kV]
Up = Us + (1/2)×IaZp = 58 + (1/2) × 2.5 × 400 = 558[kV]
PASと避雷器の単独接地と共用接地
共用接地雷サージにより避雷器が放電するとPAS充電部と外箱間の電位差は避雷器の制限電圧となる。
このとき、単独接地のように接地抵抗の大きさには影響されない。
避雷器の制限電圧は33kV(JIS C 4608)、PASの耐電圧値は60kV(JIS C 4607)
避雷器が正常に動作すればPASは保護される。
単独接地
避雷器が放電すると避雷器接地点の電位= 制限電圧 + 接地抵抗×放電電流
PAS本体接地極には接地極間の電位干渉により電圧が移行する。
PAS充電部とPAS外箱間には制限電圧以上の電圧が加わる。
放電電流や接地抵抗の大きさによってはPASの耐サージ電圧を超える場合がある。
単独接地は共用接地に比べて避雷器の保護効果が低下する。
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